女性内科とは

- 女性内科は、必ずしも女性特有の症状とは限りませんが、女性によく見受けられる症状や疾患を中心に診療していきます。具体的には、骨粗しょう症や甲状腺機能異常(バセドウ病などの甲状腺機能亢進症、橋本病などの甲状腺機能低下症)をはじめ、動脈硬化、糖尿病、高血圧症、脂質異常症などにも対応しています。
- また、これらは更年期障害と非常によく似た症状が見受けられることもありますので、はっきり何の病気かわからないという場合は、当診療科をご受診ください。また風邪をひいた、慢性的に腰が痛い、下痢や便秘が続く、貧血や頭痛を慢性的に繰り返しているという場合も診療範囲となります。
女性内科でよくみられる疾患(例)
骨粗しょう症、甲状腺疾患(バセドウ病、橋本病 など)、動脈硬化、高血圧症、脂質異常症(高脂質血症)、糖尿病、高尿酸血症(痛風)、うつの症状、不眠、貧血、頭痛 など
女性内科の代表的な疾患
骨粗しょう症
- 骨量(骨に含まれるカルシウムなどの量)が何らかの原因で低下してしまい、そのことで骨が脆くなって、骨折しやすくなる病気のことを骨粗しょう症と言います。この疾患は、女性の患者さまが多いのが特徴で、男性患者と比較すると3倍程度の数になると言われています。
- 骨粗しょう症の発症原因は、大きく2つに分けられます。ひとつは原因が特定できないとされる原発性骨粗しょう症ですが、現時点では閉経(閉経後骨粗しょう症)や加齢(老人性骨粗しょう症)のほか、不摂生な生活習慣、遺伝的要因などが関係していると考えられています。もうひとつは原因が特定できる続発性骨粗しょう症です。具体的には、何かしらの病気(甲状腺機能亢進症、副甲状腺機能亢進症、糖尿病、クッシング症候群、慢性腎臓病 など)、薬剤(ステロイド薬の長期投与 など)の使用によって引き起こされる骨粗しょう症になります。
- なお同疾患は閉経後の女性によくみられるのが特徴です。なぜなら閉経を迎えるとエストロゲン(女性ホルモンの一種)が急激に減少するようになるのですが、このエストロゲンには、骨の新陳代謝に対して骨吸収のスピードを緩めるという作用があります。つまり同ホルモンが分泌されなければ、骨吸収のスピードに対して骨形成が追いつかなくなるので骨折しやすくなるのです。
- よくみられる症状ですが、骨量が低下することによる自覚症状というものはありません。多くは転んで手を着いただけなのに手首を骨折した、椎体の圧迫骨折でみられる症状(腰背部の痛み、身長の低下、脊柱の後弯変形 など)が出るようになって発症に気づくことが多いです。なお同疾患では、背骨、手首、太ももの付け根、腕の付け根の部位で骨折しやすいとされ、背骨、太ももの付け根を骨折すると寝たきり状態になりやすいと言われております。
バセドウ病
- バセドウ病は甲状腺機能亢進症(甲状腺ホルモンの分泌が多い状態)のひとつですが、原因としては自己免疫性疾患が関係しているのではないかとされ、これによって甲状腺が刺激を受け、甲状腺ホルモンが過剰に分泌しているのではないかと考えられています。同疾患は20~40歳代の女性が多く、患者数を男女で比べると5倍程度女性が多いと言われています。
- 同ホルモンが過剰に分泌されることで新陳代謝は盛んになって、甲状腺が腫れる、動悸、眼球突出といった症状が現れ、頻脈から心房細動を招くこともあります。また体内で甲状腺ホルモンが増えるようになると、甲状腺中毒症状(動悸、息切れ、多汗、微熱、手指のふるえ、食欲旺盛も体重減少、精神的高揚、筋力低下)がみられるようにもなります。なお重症化すると意識が失われることもあります。
橋本病
- 甲状腺機能低下症(甲状腺ホルモンの分泌が少ない状態)の代表的な疾患のひとつで、バセドウ病と同様に自己免疫の異常が原因とされ、これによって甲状腺に炎症が起き、それによって甲状腺の細胞が破壊されることで甲状腺ホルモンが減少し、むくみ、声がかれる、皮膚が乾燥するなどの症状が現れている状態が橋本病です。
- 中年女性に発症しやすいのが特徴で、10人に1人の割合で橋本病を発症しているとされ、女性患者の数は男性の20倍とも言われています。
- 甲状腺ホルモンの分泌が不足すると新陳代謝も低下するようになります。そのため全身が老けていくような症状が現れるほか、気力が湧かなくなって頭の働きも鈍くなるなどして、忘れっぽくもなっていきます。さらに、疲れやすい、寒がる、便秘、体重増加などの症状も現れるようになります。
- また甲状腺の腫れについては、橋本病の場合は首の正面でみられるようになります。腫れている部位付近に触れると表面がゴツゴツした硬い感触があります。診断をつける際に触診や超音波検査で発症の有無を確認することもあります。